2025/04/20

帰路。23時の急行列車。
向かいの席に乗る初老の夫婦。車両の端に座る妻は伸びっぱなしでボサボサの白髪混じりの縮毛を纏って、デニム生地の簡素なワンピースを着ている。
隣に座る夫は小太りでニュージーランド土産と思しき黄色地にキウイ鳥のTシャツを着ており、肩から2年前の某芸術祭のトートバッグを提げている。
旦那が何かスマホの画面を妻に見せると、妻は興味深げに覗き込む。
そうしている間に、隣の車両から青年が重いスライドドアを開けこちらの車両に入り、通り過ぎていった。
開け放たれたままのドアを見た妻は、少し逡巡したのちに、座ったままハンドルを手にすると勢いよく押し込む。
ドアは想像以上に大きな音を立てて閉まる。その音に妻は驚き、夫の方を少し向き少し笑う。夫も妻に何か喋っている。
それをぼんやり眺めていた僕は、あまりの美しさに少し潤んだ目で、
スマホを取り出し、メモアプリを開くーー